ある患者さんの話です。仮にMさんとします。
- 高血圧
- 肩こり、首こりが酷い
- 背中に痛みがある
- 首から腰にかけても常に痛みがある
- 疲労感がずっと抜けない
これらの症状は数年前から続いましたが、「デスクワークのせいだから仕方ない」と感じていたようです。
心臓が出すSOSサイン
実は、これらの症状は単なる肩こりや首こりではなく、心臓が悲鳴を上げているサインかもしれません。
心臓に負担がかかると、疲れやすさや肩こり、首こり、腰痛、左肩の痛みなどが現れやすくなります。特に左側に症状が出ることが多く、寝違えたような痛みや、動悸や不整脈といった症状も出やすくなります。
Mさんの場合も、症状は左側に強く現れていました。施術前に行った検査では、以下の問題が確認されました。
- 筋力検査で左の上肢・下肢に力が入らない
- 左の肩甲骨が下がっている
これらの結果から、私はMさんの問題は「心臓」に関連しているのではないかと考えました。
Mさんの肩こりの原因は「無呼吸症候群」
Mさんの肩こりや首こりの根本原因は、単なる筋肉の疲れではなく、心臓に負担がかかっていることが問題でした。その原因となっていたのが、「無呼吸症候群」です。
無呼吸症候群の人は、睡眠中に何度も息を止めてしまうため、心臓に大きな負担がかかります。これは、まるで寝ている間に激しいトレーニングをしているようなもので、放っておくと寿命を縮めるだけでなく、様々な病気を引き起こしてしまう可能性があります。
無呼吸症候群の人は、健康な人に比べて以下のリスクが大幅に高くなります。
- 狭心症・心筋梗塞のリスクが2〜3倍
- 不整脈のリスクが2〜4倍
Mさんの体は肩こりという形で「心臓が危ないよ!」と警告を発していたのです。また、Mさんの高血圧も無呼吸症候群に関連していると考えられます(無呼吸症候群は、高血圧や高血糖のリスクを高めることが知られています)。
Mさんに必要な治療とは?
Mさんにとって緊急に必要な治療は、肩こりを単にほぐすことではありません。まずは、肩こりや首こりの根本原因である「心臓の問題」に対処することが最優先です。そして、無呼吸症候群を改善し、睡眠の質を向上させることが重要です。
これこそが、真の「根本治療」ではないでしょうか?
肩こりや首こりの症状を放置せず、体が発しているサインをしっかりと受け止め、適切な治療を行うことで、健康な体を取り戻すことができます。